🌿【井穴とは?】


「井穴」は、指の末端(手足の指先)にあるツボで、経絡(けいらく)の始まりまたは終わりの場所です。五行分類でいう「五兪穴(ごゆけつ)」のひとつで、最も浅くて鋭敏なポイントとされます。ここは、体の「気」が生まれ始める「井戸=井」のような場所という意味を持ちます。

🌊【言い伝え・古典的エピソード】

🐉1. 『黄帝内経』の記述より:

古典『霊枢・九鍼十二原篇』では、「井は気の出ずる所なり」と表現されています。
つまり、**井穴は気血が皮膚の表層から湧き出す“命の泉”**のような場所。

そのため古代の人々は、病の邪気(じゃき)がここに集まりやすいと考え、
体内から「邪」を追い出すために**刺絡(血を少し出す療法)**を行っていました。


🕯️2. 古の戦国時代・兵士の民間療法:

中国の古い伝承によると、戦地で高熱を出した兵士の意識を回復させるため
民間の知恵として「井穴」に細い針を刺し、少量の血を抜くことで悪熱を逃したという話もあります。

「針一本で命を救った」とまで語られるこの療法は、
現代で言うところの「救急処置」のような意味を持ち、
井穴刺絡はそうした実践の中で磨かれ、受け継がれてきた技法でもあります。


🔥3. 五行と感情との関わり:

井穴はそれぞれ五臓に対応し、感情とも深くつながっています。
たとえば、

  • 肝の井穴は「怒」
  • 心の井穴は「喜」
  • 脾の井穴は「思」
  • 肺の井穴は「憂」
  • 腎の井穴は「恐」

感情が過剰に偏ったとき、井穴刺絡を使ってバランスを取るという情動のリセットボタン的な役割も担っていたとされます。


🍃【まとめ:井穴のスピリチュアルなイメージ】

井穴は、「心身の奥底とつながる小さな泉」
そこに溜まった不要な“澱み”を取り除くことで、
全身の“流れ”が軽やかに蘇る…
そう語り継がれながら、今に至る伝統技法です。